英語でプルリクエストを書こうとして、手が止まったことはないだろうか。
「何を書けばいいかわからない」「失礼な表現にならないか不安」「毎回ゼロから考えるのが面倒」——こうした悩みは、フレーズとテンプレートを知るだけでほぼ解決できる。
この記事では、現役エンジニアとして外資系チームで実際に使っているPRの書き方を解説する。コピーしてすぐ使えるテンプレートを3種類、タイトルで使える動詞15選、レビュアーへの配慮フレーズ10選をまとめた。
この記事を読めば、次のことがわかる。
- 英語PRの基本構成(タイトル・概要・変更内容・確認事項)
- そのままコピーできるテンプレート3種(機能追加・バグ修正・リファクタリング)
- レビュアーに好印象を与える英語フレーズ
結論からいうと、英語PRは「決まった型」に当てはめるだけで書ける。最初からオリジナルの文章を考える必要はない。
英語PRが書けないと損する3つの場面
グローバルチームではPRが唯一の非同期コミュニケーション手段
時差があるチームでは、口頭での説明ができない。PRの説明文が唯一の情報源になるため、「何をしたか」「なぜしたか」が伝わらないとレビューが止まる。
英語PRが書けないと、レビューのたびに追加質問が来てラリーが増える。結果として、マージまでの時間が長くなる。
英語PRを書く習慣が技術英語の書く力を底上げする
PRは「短い英語文章を繰り返し書く」練習として最適な環境だ。毎日書くことで、技術英語の語彙と表現パターンが自然に蓄積されていく。
GitHubのコメントで使える英語フレーズと組み合わせると、読み書きの両方が同時に鍛えられる。
(→ 関連記事:GitHubコメントで使える英語フレーズ30選【現役エンジニアが厳選】)
英語PRの基本構成は「タイトル・概要・変更内容・確認事項」の4点
英語PRに特別なセンスは不要だ。以下の4つの要素を埋めるだけで、十分なPRが書ける。
タイトルは動詞から始める(Add / Fix / Update / Remove)
PRタイトルは「何をしたか」を一言で伝えるものだ。動詞から始めることで、変更の種類が一目でわかる。
Add user authentication feature
Fix null pointer error in login flow
Update API endpoint for payment processing
Remove deprecated user settings endpoint
「Add a feature」のように冠詞を入れる必要はない。シンプルに動詞+目的語の形が標準的だ。
概要(Description)は「何を・なぜ・どのように」の3点で書く
レビュアーが最初に読む部分がDescriptionだ。以下の3点を意識して書くと、質問が来にくくなる。
- What(何を):変更した内容の概要
- Why(なぜ):変更が必要だった理由・背景
- How(どのように):技術的なアプローチや設計の判断
長文にする必要はない。3〜5文で書ければ十分だ。
変更内容(Changes)は箇条書きで簡潔にまとめる
「どのファイルに何をしたか」を箇条書きで列挙する。レビュアーがレビュー範囲を把握しやすくなる。
## Changes
- Added `UserAuthService` class for token validation
- Updated `LoginController` to use the new service
- Added unit tests for authentication flow
確認事項(Checklist)でレビュアーの負担を減らす
テストの確認状況・ドキュメントの更新有無・破壊的変更の有無などをチェックリスト形式で示す。レビュアーが確認すべきことを事前に整理しておくと、レビューが速くなる。
## Checklist
- [x] Tests added/updated
- [x] Documentation updated
- [ ] Breaking change (if yes, describe below)
そのままコピーできる英語PRテンプレート3種
機能追加のPRテンプレート
## Summary
Add [機能名] to [対象].
This PR implements [機能の概要]. [なぜ必要か・背景を1〜2文で].
## Changes
- Added [ファイル名/クラス名] for [目的]
- Updated [ファイル名] to [変更内容]
- Added tests for [テスト対象]
## How to test
1. [テスト手順1]
2. [テスト手順2]
## Checklist
- [x] Tests added/updated
- [x] Documentation updated
- [ ] Breaking change
バグ修正のPRテンプレート
## Summary
Fix [バグの内容] in [対象].
## Root cause
[バグの原因を1〜2文で説明].
## Fix
[修正内容を1〜2文で説明].
## Changes
- Fixed [ファイル名] to [修正内容]
- Added regression test for [テスト対象]
## Checklist
- [x] Root cause identified
- [x] Fix verified locally
- [x] Regression test added
リファクタリングのPRテンプレート
## Summary
Refactor [対象] for [目的(readability / performance / maintainability など)].
## Motivation
[なぜリファクタリングが必要だったかを1〜2文で].
## Changes
- Extracted [クラス名/関数名] from [元のファイル]
- Renamed [旧名] to [新名] for clarity
- Removed unused [変数名/メソッド名]
## Note
No functional changes. Existing tests cover the behavior.
## Checklist
- [x] No functional changes
- [x] All existing tests pass
- [ ] Breaking change
PRタイトルで使える英語表現15選
タイトルに使う動詞は決まったものが多い。以下の15個を覚えておけば、ほぼすべての変更に対応できる。
| 動詞 | 用途 | 例 |
|---|---|---|
| Add | 新規追加 | Add search functionality |
| Fix | バグ修正 | Fix login timeout error |
| Update | 既存の更新 | Update payment API endpoint |
| Remove | 削除 | Remove deprecated user endpoint |
| Refactor | リファクタリング | Refactor authentication module |
| Improve | 改善 | Improve query performance |
| Optimize | 最適化 | Optimize image loading speed |
| Implement | 実装 | Implement OAuth2 flow |
| Replace | 置き換え | Replace jQuery with vanilla JS |
| Rename | リネーム | Rename UserService to AuthService |
| Move | 移動 | Move helper functions to utils |
| Clean up | 整理 | Clean up unused imports |
| Bump | バージョン更新 | Bump lodash to 4.17.21 |
| Revert | 差し戻し | Revert “Add experimental feature” |
| Draft / WIP | 作業中 | WIP: Add user notification system |
「WIP」「Draft」の使い方と外し方
レビュー前の作業中PRにはWIP:または[Draft]をタイトルの先頭につける。GitHubでは「Draft Pull Request」機能を使うと、マージボタンがグレーアウトされてレビュー前のマージを防げる。
レビュー準備ができたらWIP:を外し、Draft状態を解除する。その際Slackで一言添えると親切だ。
(→ 関連記事:エンジニアのSlack英語フレーズ30選【実務シーン別に厳選】)
レビュアーへの配慮が伝わる英語表現10選
PRの本文に一言添えるだけで、レビュアーへの印象が大きく変わる。以下の10フレーズを場面ごとに使い分けてほしい。
レビュー依頼・補足説明のフレーズ
① Could you review this when you have a chance?
「お時間のあるときにレビューをお願いできますか?」やわらかい依頼の定番表現。
② Happy to discuss if you have any questions.
「質問があれば喜んで説明します。」レビュアーが質問しやすい雰囲気をつくる一言。
③ This is a bit complex — let me know if you need more context.
「少し複雑な変更なので、追加説明が必要なら言ってください。」大きな変更をするときに添えると親切だ。
④ I’ve left some inline comments to explain the reasoning.
「判断理由をインラインコメントで補足しています。」コードに直接コメントを残したことを伝えるフレーズ。
⑤ No rush, but it would be helpful to get this merged by [日付].
「急ぎではないですが、〇日までにマージできると助かります。」期限を柔らかく伝える表現。
修正対応・承認後の一言フレーズ
⑥ Updated as suggested. Thanks!
「ご指摘の通り修正しました。ありがとうございます!」レビューコメントへの返信として使う最短フレーズ。
⑦ Good catch! Fixed.
「よく気づきましたね!修正しました。」相手への感謝を込めた返信。
⑧ I see your point. I went with [approach] because [理由].
「おっしゃる通りです。〇〇のアプローチにしたのは△△の理由です。」自分の判断を説明するときに使う。
⑨ Can we take this offline?
「別途話し合えますか?」PRで長い議論になりそうなとき、MTGやSlackに移すことを提案するフレーズ。
⑩ Thanks for the thorough review!
「丁寧なレビューありがとうございます!」マージ後に一言添えるとチームの雰囲気がよくなる。
レビュアーからのコメントへの返し方を学びたい方は、英語コードレビューへの返し方で詳しく解説している。
まとめ|まずテンプレをコピーして今日から使い始めよう
英語PRで押さえるべきポイントをまとめる。
- タイトルは「動詞+目的語」の形で変更内容を一言で伝える
- 概要は「何を・なぜ・どのように」の3点で書く
- テンプレートを用意しておけば毎回ゼロから考えなくてすむ
- 配慮フレーズを一言添えるだけでレビュアーの印象が変わる
最初は本記事のテンプレートをそのままコピーして使うだけで十分だ。使い続けるうちに、自分なりのアレンジが自然に加わっていく。
英語でのアウトプット力をさらに伸ばしたい場合は、オンライン英会話との組み合わせがおすすめだ。
(→ 関連記事:ITエンジニアにおすすめのオンライン英会話5選【無料体験あり】)
PRの書き方に慣れてきたら、技術英語ライティング全般のルールも押さえておこう。【例文あり】技術英語ライティングの書き方|エンジニアが使える文章術5選でドキュメント・メール・コードコメントまで体系的に解説している。
PRの次は仕様書・設計書も英語で書けるようにしよう。【テンプレあり】英語仕様書・設計書の書き方|エンジニアが使える表現30選でコピーして使えるテンプレートを紹介している。


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