【テンプレあり】英語仕様書・設計書の書き方|エンジニアが使える表現30選

技術英語の実践術

グローバルチームで仕様書や設計書を英語で書かなければならないとき、どこから手をつければいいか迷ったことはないだろうか。

「構成がわからない」「要件の強弱を英語で表現できない」「図やテーブルの説明文が書けない」——こうした悩みを抱えるエンジニアは多い。

この記事では、英語仕様書・設計書の基本構成と、すぐに使える表現を30個まとめた。Overview・Requirements・Designの各セクションをカバーしている。

この記事を読めば、次のことがわかる。

  • 英語仕様書・設計書を「5つのセクション」で迷わず書く方法
  • Must/Should/Mayを使った要件の書き分け方
  • そのままコピーして使えるテンプレートと表現30選

結論からいうと、英語仕様書・設計書は「構成」と「型」を覚えれば書ける。 英語力より、何をどの順番で書くかの設計力の方がはるかに重要だ。


  1. 英語仕様書・設計書でエンジニアが詰まる3つの場面
    1. 何をどの順番で書けばいいかわからない
    2. 要件の強弱(Must/Should/May)を正確に伝えられない
    3. 図・テーブル・コードブロックの説明文が書けない
  2. 英語仕様書・設計書の基本構成|5つのセクションで迷わず書ける
    1. ①Overview(概要)
    2. ②Background / Motivation(背景・目的)
    3. ③Requirements(要件)
    4. ④Design / Architecture(設計・アーキテクチャ)
    5. ⑤Open Questions / Future Work(未解決事項・今後の課題)
  3. Overview・Background で使えるフレーズ10選
    1. 目的・背景を説明する表現
    2. スコープ・対象読者を示す表現
    3. 用語定義の表現
  4. Requirements・Design で使えるフレーズ10選
    1. 機能要件・非機能要件を書く表現
    2. 設計の決定・トレードオフを説明する表現
    3. 図・テーブル・コードを説明する表現
  5. Open Questions・レビュー依頼で使えるフレーズ10選
    1. 未解決事項・前提条件を書く表現
    2. フィードバック・承認を求める表現
    3. 変更履歴・改訂を記録する表現
  6. 英語仕様書テンプレート(コピーして使えます)
  7. 英語仕様書・設計書を書く力を鍛える3つの習慣
    1. OSSのRFC・設計ドキュメントを読んで構成を真似る
    2. まず日本語で書いてから英語に変換する練習をする
    3. チームにレビューしてもらいフィードバックを蓄積する
  8. まとめ:英語仕様書は「構成」と「型」を覚えれば書ける

英語仕様書・設計書でエンジニアが詰まる3つの場面

何をどの順番で書けばいいかわからない

日本語の仕様書では「背景→課題→要件→設計→まとめ」という流れが多い。 英語でも同様の構成は存在するが、セクション名や書き方のルールが異なる。

「Overview」「Motivation」「Requirements」「Design」——これらの英語セクション名と、それぞれに書くべき内容を知っておくだけで、仕様書作成の迷いが大幅に減る。

要件の強弱(Must/Should/May)を正確に伝えられない

「この機能は必須ですか、任意ですか?」——この判断が英語で伝わらないと、実装の優先順位に混乱が生じる。

英語の技術文書では、RFC 2119という標準規格で定められた表現を使うことが一般的だ。 Must/Should/Mayの使い分けを知っておくことが、正確な要件定義の第一歩だ。

図・テーブル・コードブロックの説明文が書けない

アーキテクチャ図やシーケンス図を貼り付けても、説明文がなければ読み手に意図が伝わらない。 「The following diagram shows…」「As illustrated in Figure 1…」——こうした定番の引用表現を覚えておくことが大切だ。


英語仕様書・設計書の基本構成|5つのセクションで迷わず書ける

英語の仕様書・設計書は、以下の5つのセクションで構成するのが標準的だ。

①Overview(概要)

文書全体の要約を2〜3文で書く。 「この文書は何のためのものか」「誰が読む文書か」を最初に明示する。

②Background / Motivation(背景・目的)

「なぜこの設計・機能が必要なのか」を説明するセクションだ。 現状の問題点・課題・解決したいことを書く。

③Requirements(要件)

機能要件・非機能要件をMust/Should/Mayで分類して書く。 Acceptance Criteria(受け入れ条件)もここに含める。

④Design / Architecture(設計・アーキテクチャ)

実際の設計内容を書くセクションだ。 アーキテクチャ図・シーケンス図・データモデルなどを含める。 設計の決定理由・トレードオフも明示するのが良い慣習だ。

⑤Open Questions / Future Work(未解決事項・今後の課題)

まだ決まっていないことや、今回のスコープ外の内容をリストアップする。 レビュアーへのフィードバック依頼もここに書く。


Overview・Background で使えるフレーズ10選

技術英語ライティングの基本ルールと共通する表現も多い。 ライティング全般のルールは以下の記事で詳しく解説している。

【例文あり】技術英語ライティングの書き方|エンジニアが使える文章術5選

目的・背景を説明する表現

① This document describes the design of [機能/システム名]. 「このドキュメントは[機能/システム名]の設計について説明します。」仕様書・設計書の冒頭で使う定番フレーズ。

② The purpose of this document is to [目的]. 「このドキュメントの目的は[目的]です。」文書の意図を明確に示すフレーズ。

③ This proposal addresses the following problem: [問題の概要]. 「この提案は以下の問題に対処します:[問題の概要]。」問題提起から始める書き方。

④ Currently, [現状の課題]. This leads to [問題の影響]. 「現在、[課題]があります。これにより[影響]が生じています。」現状の問題を説明するフレーズ。

⑤ The goal of this change is to [達成したいこと]. 「この変更の目標は[達成したいこと]です。」変更の目標を一文で示すフレーズ。

スコープ・対象読者を示す表現

⑥ This document is intended for [対象読者]. 「このドキュメントは[対象読者]を対象としています。」対象読者を明示するフレーズ。

⑦ This design covers [スコープ内の内容]. The following are out of scope: [スコープ外の内容]. 「この設計は[内容]をカバーします。以下はスコープ外です:[内容]。」スコープを明確にするフレーズ。

⑧ For the purposes of this document, [用語] refers to [定義]. 「このドキュメントでは、[用語]は[定義]を指します。」用語を定義するフレーズ。

用語定義の表現

⑨ See [セクション名 / リンク] for definitions of terms used in this document. 「このドキュメントで使用する用語の定義は[セクション/リンク]を参照してください。」用語集への参照フレーズ。

⑩ Throughout this document, the following conventions are used: [規則の説明]. 「このドキュメント全体を通じて、以下の規則を使用します:[説明]。」表記ルールを明示するフレーズ。


Requirements・Design で使えるフレーズ10選

機能要件・非機能要件を書く表現

英語の要件定義では、RFC 2119の表現を使うのが標準だ。

表現意味使い場面
MUST / SHALL必須絶対に満たさなければならない要件
MUST NOT / SHALL NOT禁止絶対にやってはいけないこと
SHOULD推奨特別な理由がない限り満たすべき要件
SHOULD NOT非推奨特別な理由がない限り避けるべきこと
MAY任意あってもなくてもよい要件

⑪ The system MUST [必須要件]. 「システムは[要件]を満たさなければなりません。」必須要件を書く定番フレーズ。

⑫ The API MUST NOT expose [禁止事項]. 「APIは[内容]を公開してはなりません。」禁止事項を明示するフレーズ。

⑬ The system SHOULD [推奨要件] to ensure [目的]. 「[目的]を確保するために、システムは[要件]を満たすことが推奨されます。」推奨要件を書くフレーズ。

⑭ Acceptance Criteria: 「受け入れ条件:」受け入れ条件セクションの見出しに使う。番号付きリストで条件を続ける。

設計の決定・トレードオフを説明する表現

⑮ We chose [選択した設計] over [却下した設計] because [理由]. 「[却下した設計]より[選択した設計]を選んだ理由は[理由]です。」設計の決定理由を説明するフレーズ。

⑯ The tradeoff here is [トレードオフの内容]. We prioritize [優先したこと] over [犠牲にしたこと]. 「ここでのトレードオフは[内容]です。[犠牲にしたこと]より[優先したこと]を重視します。」トレードオフを明示するフレーズ。

⑰ This approach has the following advantages: [メリット]. However, it comes with [デメリット]. 「このアプローチには以下の利点があります:[メリット]。ただし、[デメリット]も伴います。」メリット・デメリットを示すフレーズ。

図・テーブル・コードを説明する表現

⑱ The following diagram illustrates [図の説明]. 「次の図は[内容]を示しています。」図の前に使う定番の引用フレーズ。

⑲ As shown in Figure [番号], [説明]. 「図[番号]に示すように、[説明]です。」図を本文中で参照するフレーズ。

⑳ The table below summarizes [テーブルの内容]. 「以下の表は[内容]をまとめたものです。」テーブルの前に使う引用フレーズ。


Open Questions・レビュー依頼で使えるフレーズ10選

未解決事項・前提条件を書く表現

㉑ The following questions are still open and need to be resolved before implementation: 「以下の問題はまだ未解決で、実装前に解決する必要があります:」未解決事項セクションの冒頭フレーズ。

㉒ TBD: [未決定の内容]. Owner: [担当者名]. Due: [期限]. 「未定:[内容]。担当:[名前]。期限:[日付]。」TBD(To Be Determined)を構造的に書くフォーマット。

㉓ This design assumes that [前提条件]. 「この設計は[前提条件]を前提としています。」前提条件を明示するフレーズ。

㉔ If [条件] changes, this design will need to be revisited. 「[条件]が変わった場合、この設計を見直す必要があります。」設計の前提が崩れる条件を示すフレーズ。

フィードバック・承認を求める表現

㉕ Please review this document and provide feedback by [期限]. 「[期限]までにこのドキュメントをレビューしてフィードバックをいただけますか。」レビュー依頼フレーズ。

㉖ I’d especially appreciate feedback on [特に見てほしい箇所]. 「特に[箇所]についてフィードバックをいただけると助かります。」レビューのフォーカスポイントを伝えるフレーズ。

㉗ Does this approach make sense? Are there any concerns I haven’t addressed? 「このアプローチは理にかなっていますか?対応できていない懸念点はありますか?」レビュアーへの問いかけフレーズ。

㉘ This document requires approval from [承認者] before implementation begins. 「このドキュメントは実装開始前に[承認者]の承認が必要です。」承認フローを明示するフレーズ。

変更履歴・改訂を記録する表現

㉙ Revision History: 「改訂履歴:」変更履歴セクションの見出し。日付・バージョン・変更内容・変更者を表形式で管理する。

㉚ Updated [セクション名] based on feedback from [レビュアー名]. 「[レビュアー名]のフィードバックに基づき[セクション名]を更新しました。」改訂内容を記録するフレーズ。


英語仕様書テンプレート(コピーして使えます)

以下のテンプレートをそのままコピーして使ってほしい。

# [Document Title]

**Author:** [名前]
**Status:** [Draft / In Review / Approved]
**Last Updated:** [日付]

---

## Overview

[2〜3文で文書の要約を書く]

---

## Background / Motivation

### Current State
[現状の説明]

### Problem Statement
[解決したい問題の説明]

### Goals
- [目標1]
- [目標2]

### Non-Goals
- [スコープ外の内容]

---

## Requirements

### Functional Requirements
- The system MUST [必須要件1]
- The system MUST [必須要件2]
- The system SHOULD [推奨要件]
- The system MAY [任意要件]

### Non-Functional Requirements
- Performance: [パフォーマンス要件]
- Security: [セキュリティ要件]
- Scalability: [スケーラビリティ要件]

---

## Design

### Architecture Overview
[アーキテクチャの概要説明]

[図をここに挿入]

### Key Design Decisions
**Decision 1:** [決定内容]
- **Rationale:** [理由]
- **Alternatives considered:** [検討した代替案]
- **Tradeoffs:** [トレードオフ]

---

## Open Questions

| Question | Owner | Due Date | Status |
|----------|-------|----------|--------|
| [質問1] | [担当者] | [期限] | Open |

---

## Revision History

| Version | Date | Author | Changes |
|---------|------|--------|---------|
| 1.0 | [日付] | [名前] | Initial draft |

英語仕様書・設計書を書く力を鍛える3つの習慣

OSSのRFC・設計ドキュメントを読んで構成を真似る

GoogleのDesign Doc・AWSのADR(Architecture Decision Record)・各種OSSのRFCは、英語設計書の最高の教材だ。

特に参考にしやすいのは以下のリソースだ。

  • Google Design Doc template:Googleが公開している設計書のテンプレート
  • Python Enhancement Proposals (PEPs):Pythonの機能提案書
  • Rust RFCs:Rustの機能設計書

構成を真似るだけでも、英語設計書の型が自然に身につく。

まず日本語で書いてから英語に変換する練習をする

最初から英語で書こうとすると、内容と言語の両方に頭を使って疲弊しやすい。

まず日本語で仕様を整理し、構成が固まってから英語に変換する方法が効率的だ。 DeepLやChatGPTを活用して初稿を作り、その後に表現を磨くという流れがおすすめだ。

コードレビューのような短い英語コメントに慣れてきたら、次は仕様書に挑戦しよう。 コードレビューの英語表現については以下の記事で詳しく解説している。

【例文あり】英語コードレビューの進め方|エンジニアが使えるフレーズ30選

チームにレビューしてもらいフィードバックを蓄積する

英語設計書の上達に最も効果的なのは、実際にチームメンバーにレビューしてもらうことだ。

「この表現はわかりにくい」「この構成は読みにくい」といった具体的なフィードバックを蓄積することで、次の文書がどんどん良くなっていく。

PRのレビューと同様に、英語設計書もフィードバックのサイクルを回すことが上達の近道だ。 英語PRの書き方については以下の記事も参考にしてほしい。

英語プルリクエストの書き方【エンジニア向け例文テンプレ付き】


まとめ:英語仕様書は「構成」と「型」を覚えれば書ける

この記事では、英語仕様書・設計書の基本構成と使える表現30選を紹介した。

重要なポイントをまとめる。

  • Overview・Background・Requirements・Design・Open Questionsの5セクション構成が基本
  • Must/Should/Mayで要件の強弱を明確に表現する
  • 図・テーブルには必ず引用フレーズで説明文をつける
  • テンプレートをコピーして使い回すことで作成効率が大幅に上がる
  • OSSのRFC・設計書を読んで構成を真似ることが上達の近道

英語仕様書・設計書は、完璧な英語より「正確な構成と明確な表現」が重要だ。 まず今日、この記事のテンプレートをコピーして次の設計書の雛形を作ってみてほしい。

型があるだけで、英語ドキュメントへのハードルは大きく下がる。

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