GitHubのコメントを英語で書けと言われたとき、あなたはどうするだろうか。
「何から書けばいいかわからない」「文法が間違っていたら恥ずかしい」——そんな不安を抱えたまま、日本語でコメントを書き続けていないだろうか。
私も同じ経験をした。外国人エンジニアとチームを組んだ初日、英語でコードレビューを求められて頭が真っ白になった。
だが実際に書き始めてわかったことがある。GitHubのコメントは、中学英語レベルのフレーズで9割は乗り越えられる。
この記事では、現役ITエンジニアの私が実務で使っている英語フレーズを30個まとめた。コミットメッセージ・プルリクエスト・コードレビューの3つに分けて解説する。この記事を読めば、今日からGitHubのコメントを英語で書き始めることができる。
GitHubのコメントを英語で書くべき3つの理由
英語でコメントを書く習慣は、単なるグローバル対応にとどまらない。エンジニアとしての成長を加速させる、3つの理由がある。
理由1|英語コメントは検索性が高く、チームの生産性が上がる
GitHubのコメントは後から検索されることが多い。「あのバグ、どのコミットで直したっけ?」というとき、英語で統一されたリポジトリは検索しやすい。
日本語と英語が混在したリポジトリは、検索クエリを両言語で試す必要が生まれる。チーム全体の生産性が下がる原因になる。
また、外国人メンバーが加わったとき、英語で書かれたコメント履歴はそのまま引き継げる。日本語コメントは機械翻訳を挟む手間が発生し、ニュアンスが失われることも多い。
理由2|OSSコントリビューションへの道が開ける
GitHubには世界中の優れたOSS(オープンソースソフトウェア)がある。コントリビューションのコミュニケーションはほぼ英語だ。
「バグを見つけたのにIssueを立てられない」「PRを送りたいけど英語で説明できない」——この壁を越えることで、世界のエンジニアと直接コラボレーションできる。英語コメントの習慣は、OSSの世界への入り口にもなる。
理由3|英語コメントの習慣が技術英語力全体を底上げする
英語は「インプット」だけでは伸びにくい。アウトプットの習慣が言語習得を加速させることは、多くの研究で示されている。
毎日のコミットメッセージやPRコメントを英語で書くことは、日常的な英語アウトプット練習になる。英語ドキュメントの読みやすさや、英語でのやりとりのしやすさが、数ヶ月で変わってくる。
【コミットメッセージ】即使える英語フレーズ10選
コミットメッセージは「何をしたか」を動詞で始めるのが世界標準だ。最初の動詞を使い分けるだけで、プロらしいコミットメッセージが書ける。
追加・新機能には「Add / Implement / Create」を使う
| 動詞 | 使う場面 | 例文 |
|---|---|---|
| Add | ファイルや機能を追加する | Add user authentication feature |
| Implement | 仕様・機能を実装する | Implement password reset flow |
| Create | 新しいものを作成する | Create API endpoint for login |
「新しく何かを加えた」場面は、この3語でほぼカバーできる。迷ったら「Add」を選べば間違いない。
バグ修正には「Fix / Resolve / Correct」を使う
| 動詞 | 使う場面 | 例文 |
|---|---|---|
| Fix | バグ・不具合を修正する | Fix null pointer exception in UserService |
| Resolve | 問題・コンフリクトを解決する | Resolve merge conflict in config file |
| Correct | 誤った値・ロジックを正す | Correct calculation logic in tax module |
エラーや不具合の修正には「Fix」が最も汎用的で使いやすい。「Resolve」はコンフリクト解消や根本的な問題解決に使うと自然に聞こえる。
削除・整理には「Remove / Delete / Clean up」を使う
| 動詞 | 使う場面 | 例文 |
|---|---|---|
| Remove | 不要なコード・ファイルを取り除く | Remove deprecated API endpoints |
| Delete | ファイル・データを削除する | Delete unused migration files |
| Clean up | コードを整理・整頓する | Clean up unused imports in all modules |
「Remove」と「Delete」は似ているが、「Remove」のほうが広い場面で使われる。コードの削除には「Remove」を選ぶのが自然だ。
改善・更新には「Refactor / Improve / Update」を使う
| 動詞 | 使う場面 | 例文 |
|---|---|---|
| Refactor | コードの構造を改善する(動作は変えない) | Refactor authentication middleware |
| Improve | パフォーマンス・品質を向上させる | Improve query performance in user search |
| Update | 既存のものを最新化・変更する | Update dependencies to latest versions |
「Refactor」は動作を変えずに構造だけを改善するとき専用の動詞だ。バグ修正と混同しないよう注意したい。
【プルリクエスト説明文】レビュアーに伝わる英語フレーズ10選
PRの説明文は「何を・なぜ・どのように変えたか」の3点を伝えるだけでよい。難しい英文は不要だ。
PRの目的・背景を1文で説明するフレーズ
| フレーズ | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| This PR adds … | このPRは〜を追加します | This PR adds email notification feature |
| This PR fixes … | このPRは〜を修正します | This PR fixes the login redirect bug |
| This PR implements … | このPRは〜を実装します | This PR implements rate limiting for API |
PRの冒頭の1文は「This PR + 動詞」の形で始めるだけで十分だ。シンプルなほど読みやすく、レビュアーへの配慮になる。
レビュアーへの依頼・注目ポイントを伝えるフレーズ
| フレーズ | 意味 |
|---|---|
| Please pay attention to … | 〜に注目してください |
| Could you review … especially? | 特に〜をレビューしてもらえますか? |
| I’d appreciate feedback on … | 〜についてフィードバックをいただけると助かります |
| Let me know if you have any concerns. | 懸念があれば教えてください |
「Could you」や「I’d appreciate」は英語ネイティブがよく使う自然な表現だ。「Please」より少し丁寧で、チームの関係をよくする効果がある。
変更の補足・懸念点を正直に伝えるフレーズ
| フレーズ | 意味 |
|---|---|
| Note that … | なお、〜です |
| I’m not sure about … | 〜について自信がありません |
| This is a temporary fix for now. | これは今のところ一時的な対応です |
| Open to suggestions on … | 〜についての提案を受け付けています |
「I’m not sure about …」は自分の不安を正直に伝えるフレーズだ。「完璧なふりをしない」姿勢は、チームの心理的安全性を高める。
【コードレビューコメント】心理的安全性を守る英語フレーズ10選
コードレビューで最も気をつけたいのは「相手を責めている」と受け取られないことだ。言い方ひとつで、チームの雰囲気が大きく変わる。
承認・称賛は「LGTM」だけじゃない。5つの代替表現
「Looks good to me(LGTM)」だけでは少し素っ気ない。バリエーションを持つとコミュニケーションが豊かになる。
| フレーズ | ニュアンス |
|---|---|
| LGTM! | 問題なし(最もシンプル) |
| Looks great! Nice work. | よさそう!いい仕事だ |
| This is a clean implementation. | きれいな実装ですね |
| I like this approach. | このアプローチ気に入りました |
| This is exactly what we needed. | まさに求めていたものです |
称賛のコメントは、相手のモチベーションを上げる。「LGTM」を送るついでに一言添えるだけで、チームの雰囲気がよくなる。
修正依頼をやわらかく伝える「Softener構文」
英語の修正依頼は「Softener(やわらげ表現)」を先に置くのが鉄則だ。
NG(直接的すぎる):
This is wrong. Change it.
OK(Softenerあり):
I think this might cause an issue. Could you consider using X instead?
よく使うSoftenerのパターン:
| Softener | 使い方 |
|---|---|
| I think … | 〜と思います(断言を避ける) |
| It might be … | 〜かもしれません |
| Could you consider …? | 〜を検討してもらえますか? |
| Would it be possible to …? | 〜は可能でしょうか? |
| Nit: … | 細かいことだけど〜(小さな指摘に使う) |
「Nit:」はコードレビューで頻繁に使われる便利な表現だ。「nitpick(細かいことを指摘する)」の略で、「大きな問題じゃないけど」という前置きになる。
意図を質問・確認するフレーズ(責めずに聞く表現)
修正を求める前に「なぜこう書いたのか」を聞くことで、誤解を防げる。
| フレーズ | 意味 |
|---|---|
| What’s the reason for …? | 〜の理由は何ですか? |
| Could you explain why …? | なぜ〜なのか説明してもらえますか? |
| I’m not sure I understand … Could you clarify? | 〜がよく理解できていません。説明してもらえますか? |
| Is there a specific reason to use X here? | ここでXを使う特別な理由がありますか? |
質問形式にするだけで、批判ではなく「理解しようとしている」という印象を与えられる。関係を壊さずに品質を上げる、プロのレビュアーが使うアプローチだ。
【私の体験談】英語コメントを3ヶ月続けて気づいた3つのこと
実際に英語コメントを習慣化してみて、気づいたことを正直に書いておく。
最初の1週間は怖かったが、書いてみたら中学英語で十分だった
最初の1週間は、Google翻訳を開きながらコミットメッセージを1行書くのに5分かかっていた。「文法が間違っていたら恥ずかしい」という気持ちが強かったからだ。
だが1週間後、あることに気づいた。世界中のOSSリポジトリのコミットメッセージを見ると、使われている単語は驚くほどシンプルだ。「Add」「Fix」「Update」「Remove」——これだけで8割以上のコミットは書ける。
難しい英語は不要だった。シンプルな動詞と名詞を組み合わせるだけで伝わる。
英語コメントが習慣化してから、英語ドキュメントが読みやすくなった
コミットメッセージを毎日英語で書くようになって2ヶ月が経った頃、変化を感じた。英語の技術ドキュメントを読むスピードが上がっていたのだ。
書くことで技術系の頻出単語への感度が上がり、読むときも引っかかりにくくなった。インプットとアウトプットは連動している。
チームの外国人エンジニアとのやりとりが自然に増えた
英語でコメントを書くようになってから、外国人エンジニアからのリアクションが増えた。「LGTM!」「Nice catch!」「Thanks for the detailed explanation.」——こういったやりとりが増えると、英語でのコミュニケーション自体が楽しくなってくる。
英語コメントは、英語を「勉強するもの」から「使うもの」に変えてくれる。
GitHub英語コメントの次のステップ|技術英語をさらに伸ばす方法
GitHubのコメントで英語に慣れたら、次は技術英語の読み書き全体を伸ばしていきたいところだ。
英語ドキュメントをスラスラ読む練習法
英語のコミットメッセージが書けるようになったら、次は「読む」力を強化したい。Stack OverflowやGitHubのIssueを毎日読む習慣が、技術英語の読解力を底上げする。
技術英語をさらに伸ばしたい方は、Stack Overflowの英語読解も有効です。当ブログで順次解説していく。
話す・聞くを鍛えるにはオンライン英会話が最短ルート
読み書きに自信がついたら、「話す・聞く」も伸ばしたい。外国人エンジニアとのMTGで詰まった経験がある人は特に、スピーキングを強化すると仕事の幅が一気に広がる。
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技術英語をさらに伸ばしたい方は、オンライン英会話の活用がおすすめです。当ブログで順次解説していく。
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