「メンティーの目標を英語で一緒に整理できなかった」「壁打ちに乗りたいのに英語でうまく質問を引き出せない」——英語でのメンタリングに苦手意識を持つエンジニアは多い。
グローバルチームでメンターを担当してきた立場から言うと、英語メンタリングに必要なのは「コーチング資格」でも「流暢な英語」でもない。目標確認・壁打ち・フィードバック、それぞれの「型」さえ覚えれば、誰でも相手の成長を英語でサポートできる。
この記事では、エンジニアが実務で使える英語メンタリングフレーズ30選をシーン別に解説する。目標設定の引き出し方から壁打ちの進め方・フィードバック・次のアクション合意まで完全網羅した。
型を持てば、英語メンタリングは怖くない。
エンジニアが英語メンタリングで困る3つの場面
英語メンタリングが難しいのは、「答えを教える」のではなく「相手に気づかせる」という役割を、英語でこなす必要があるからだ。まず3つの典型的な困りごとを確認しよう。
場面①:メンティーの目標・悩みを英語で引き出せない
「何を目指しているの?」「どこで詰まっている?」——日本語ならさりげなく聞けることが、英語になると尋問のような硬い質問になってしまう。オープンクエスチョンで相手の言葉を引き出す「目標確認の型」を覚えておこう。最初の問いかけの質が、セッション全体の深さを決める。
場面②:壁打ち・相談に英語で乗れない
メンティーが抱えている問題を英語でほぐしながら一緒に考える——このプロセスを英語でリードするのは難易度が高い。「それはどういう意味?」「他にはどんな選択肢がある?」と英語で掘り下げるフレーズを持っていないと、聞いているだけで終わってしまう。
場面③:観察したことを英語でフィードバックできない
「先月と比べて成長した部分はここ」「もう少し工夫できるとしたら」——こうした具体的な観察に基づくフィードバックを英語で伝えるのが難しいと感じるエンジニアは多い。ポジティブな観察も改善提案も、英語では「型」を使うだけで自然に伝わる。
目標設定・成長方向性を確認するフレーズ10選
メンタリングの最初のステップは「相手が何を目指しているか」を一緒に整理することだ。答えを押し付けず、相手の言葉で語ってもらうフレーズを覚えよう。
目標・方向性を引き出すフレーズ
① What are you hoping to get out of our mentoring sessions? I want to make sure we focus on what matters most to you.
(このメンタリングセッションで何を得たいですか?あなたにとって最も大切なことに集中したいです。)
② Where do you see yourself in [1年/3年]? What kind of engineer do you want to become?
([1年/3年]後の自分をどう描いていますか?どんなエンジニアになりたいですか?)
③ What skills do you feel most confident about right now? And where do you feel you have the most room to grow?
(今最も自信を持っているスキルは何ですか?そして最も成長の余地があると感じるのはどこですか?)
④ Let’s talk about what success looks like for you this quarter. What would make you feel like you’ve made real progress?
(今四半期のあなたにとっての成功を話しましょう。本当に前進したと感じるには何が必要ですか?)
⑤ Is there a specific challenge you’re facing right now that you’d like to work through together?
(今直面している特定の課題で、一緒に取り組みたいものはありますか?)
目標を具体化するフレーズ
⑥ That’s a great goal. How would you know when you’ve achieved it? What would look different?
(素晴らしいゴールですね。達成したときにどうわかりますか?何が違って見えますか?)
⑦ Let’s make that more specific. Instead of “improve my communication,” what exactly would you like to do differently?
(もう少し具体的にしましょう。「コミュニケーションを改善する」ではなく、具体的に何を変えたいですか?)
⑧ What’s one thing you could do in the next two weeks that would move you closer to that goal?
(その目標に近づくために、今後2週間でできることを1つ挙げるとしたら何ですか?)
⑨ Who do you admire in the team? What is it about their approach that resonates with you?
(チームで尊敬している人は誰ですか?その人のどんなアプローチが響いていますか?)
⑩ I want to share what I’ve observed about your strengths. Do you mind if I do that?
(あなたの強みについて私が観察したことをお伝えしたいです。よろしいですか?)
メンタリングセッションの進め方をさらに深掘りしたい方は、英語1on1ミーティングの進め方も参考にしてほしい。
壁打ち・相談に乗るフレーズ10選
壁打ちは「答えを渡す」のではなく「相手が自分で答えを見つける」プロセスをサポートすることだ。問いかけで思考を深めるフレーズを覚えよう。
問題を一緒に掘り下げるフレーズ
⑪ Tell me more about that. What’s making it feel difficult?
(もう少し教えてください。何がそれを難しく感じさせていますか?)
⑫ What have you already tried? I want to understand what you’ve explored before suggesting anything.
(すでに試したことは何ですか?何か提案する前に、試みたことを理解したいです。)
⑬ What’s your gut telling you to do? Sometimes our instincts are worth examining.
(直感は何と言っていますか?直感を検討することには価値があります。)
⑭ If you had no constraints — no time, no politics, no tech debt — what would the ideal solution look like?
(制約がなければ——時間も、社内政治も、技術的負債も——理想の解決策はどんな形ですか?)
⑮ I hear that you’re frustrated. Let’s separate the problem from the feelings for a moment — what’s the core issue?
(もどかしさを感じているようですね。少し問題と感情を切り離して——核心の問題は何ですか?)
選択肢を広げるフレーズ
⑯ What are your options here? Let’s try to come up with at least three before we evaluate any of them.
(どんな選択肢がありますか?どれかを評価する前に、少なくとも3つ出してみましょう。)
⑰ What would [尊敬するエンジニア/先輩] do in this situation, do you think?
([尊敬するエンジニア/先輩]だったら、この状況でどうすると思いますか?)
⑱ What’s the worst that could happen if you tried [アイデア]? And could you live with that outcome?
([アイデア]を試したら最悪どうなりますか?その結果を受け入れられますか?)
⑲ What information would you need to feel more confident making a decision?
(決断に自信を持つためにどんな情報が必要ですか?)
⑳ It sounds like you already know the answer. What’s holding you back from acting on it?
(すでに答えがわかっているように聞こえます。それを実行することを何が妨げていますか?)
英語で技術的な相談を受けるときにも使えるフレーズは、エンジニアの英語質問・相談術も合わせて確認しておこう。
フィードバック・次のアクション合意フレーズ10選
メンタリングの締めは「観察に基づくフィードバック」と「次にやること」の合意だ。具体的で前向きなフィードバックフレーズを覚えよう。
観察に基づくフィードバックフレーズ
㉑ I’ve noticed that [観察したこと]. I think that’s a real strength worth building on.
([観察したこと]に気づきました。それはさらに磨く価値のある本当の強みだと思います。)
㉒ One pattern I’ve observed is [パターン]. I’m curious what you think about it.
(私が観察したパターンの1つは[パターン]です。それについてどう思うか聞かせてください。)
㉓ Something I’d encourage you to work on is [改善点]. Here’s what I’ve seen that leads me to say that: [根拠].
(取り組むことをお勧めしたいのは[改善点]です。そう言う根拠は[根拠]です。)
㉔ You’ve grown a lot in [成長した点] since we started. I want to make sure you recognize that in yourself.
(私たちが始めてから[成長した点]で大きく成長しました。あなた自身がそれを認識してほしいです。)
㉕ I want to share some honest feedback — is now a good time, or would you prefer I send it in writing first?
(率直なフィードバックをお伝えしたいのですが——今は良いタイミングですか?それとも先に文章で送る方がよいですか?)
次のアクションを合意するフレーズ
㉖ Let’s wrap up with commitments. What’s one thing you’ll do before our next session?
(コミットメントでまとめましょう。次のセッションまでにやることを1つ決めますか?)
㉗ How will you know you’ve followed through? What does success look like for this action?
(実行できたかどうかどうわかりますか?このアクションの成功はどんな状態ですか?)
㉘ Is there anything you need from me to make that happen? Resources, introductions, feedback?
(それを実現するために私からサポートできることはありますか?リソース、紹介、フィードバックなど?)
㉙ I’ll check in on [アクション] next time. Is that okay?
(次回[アクション]について確認します。よいですか?)
㉚ Thanks for a great session. I really value our conversations — I always learn something too.
(素晴らしいセッションをありがとうございました。私たちの会話を本当に大切にしています。私もいつも何か学んでいます。)
メンタリングの中でフィードバックをより豊かに伝えたい方は、エンジニアの英語フィードバック術のフレーズも活用してほしい。
英語メンタリングをうまく進める3つのコツ
フレーズを覚えるだけでなく、メンタリング全体のスタンスを意識することで相手の成長スピードが大きく変わる。
答えを渡さず「問い」で返す
メンターが陥りがちなのは「自分が答えを持っているからすぐ渡してしまう」ことだ。”What do you think?” “What have you tried?” と問い返す習慣を持とう。自分で答えを見つけたメンティーは、同じ問題に次に直面したとき自力で乗り越えられる。
「観察した事実」でフィードバックする
「もっと積極的になってほしい」ではなく、”I noticed you didn’t speak up in the planning meeting. What was going on for you?” と具体的な観察から始めよう。事実ベースのフィードバックは、受け取る側に防衛反応を起こさせにくい。「評価」ではなく「観察」という形式を保つことが、心理的安全性を守りながら成長を促すコツだ。
セッションの最後に必ず「1つのアクション」を決める
「また話しましょう」で終わるメンタリングは、次のセッションまでに何も変わらない。”What’s one thing you’ll do before we meet again?” で必ずアクションを1つ決めて締めよう。小さくても具体的なアクションの積み重ねが、メンティーの成長を加速させる。
英語メンタリングの実践練習をしたい方は、ITエンジニアにおすすめのオンライン英会話5選でロールプレイを試してほしい。
まとめ:英語メンタリングは「型」を覚えれば怖くない
英語メンタリングは「流暢な英語」でも「コーチング資格」でもなく「目標確認・壁打ち・フィードバックの型」で成立する。この記事で紹介したフレーズ30選を使えば、メンティーの目標を引き出し、思考を深め、成長を加速させるサポートを英語でできる。
今日からできることをまとめる:
- 目標確認は “Where do you see yourself in [X年]? What kind of engineer do you want to become?” で引き出す
- 壁打ちは “What have you already tried?” “What are your options?” で相手に考えさせる
- フィードバックは “I’ve noticed that [観察].” で事実ベースで伝える
- 締めは “What’s one thing you’ll do before our next session?” でアクションを1つ決める
型を持てば、英語メンタリングは怖くない。フレーズを1つずつ次のセッションで使い、メンティーの成長を英語でリードしていこう。


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