英語で採用面接を担当することになった。何をどう質問すればいい?評価はどう伝える?そんな壁にぶつかるエンジニアは多い。
グローバルチームの拡大により、日本人エンジニアが英語話者の候補者を面接する機会は増えている。「面接を受ける英語」の情報は多くても、「面接を行う英語」を体系的に学べる機会はほとんどない。
この記事では、採用面接の全フローで使えるフレーズ30選を紹介する。オープニングから技術評価・クロージング・評価共有まで、現場で即使える表現を網羅した。
フレーズの型を持てば、英語の面接官は怖くない。
面接官の英語が問われる3つの場面
場面①:英語話者の候補者を直接評価する
外資系企業や海外拠点との共同採用では、候補者が英語ネイティブや英語話者であるケースが増えている。面接官として正確に質問し、回答を評価できる英語フレーズが必要だ。
場面②:コーディング問題・設計問題を英語で出題する
技術面接で問題を英語で出題し、候補者の思考プロセスを英語でリードするスキルが求められる。「考えを声に出してください」「別のアプローチは?」を英語で自然に言えるかが評価の精度を左右する。
場面③:採用判断の根拠を英語で共有する
面接後の評価会議で、採用推薦の根拠や懸念点を英語でチームに共有する場面も増えている。「印象が良かった」だけでなく、根拠を構造的に伝えるフレーズが評価の信頼性を高める。
面接オープニング・アジェンダ説明フレーズ(①〜⑥)
面接の最初の5分で場の雰囲気が決まる。候補者がリラックスして実力を発揮できる環境を英語で作ることが、面接官の最初の仕事だ。
候補者を迎える挨拶フレーズ
① “Thanks for joining us today. I’m [name], a software engineer on the [team name] team.”
(本日はお越しいただきありがとうございます。[チーム名]チームのエンジニア、[名前]です。)
「Hi, nice to meet you」だけでなく、自分の役割を添えることで候補者に安心感を与える。
② “Today’s session will be about [60] minutes. We’ll start with a brief intro, then move into technical questions.”
(本日は約60分を予定しています。まず簡単な自己紹介の後、技術的な質問に移ります。)
アジェンダを最初に共有することで、候補者が時間配分を把握できる。
③ “We have two interviewers today — [colleague] will focus on system design, and I’ll cover the coding portion.”
(本日は2名で担当します。[同僚]がシステム設計を、私がコーディングを担当します。)
複数面接官の場合、役割分担を最初に伝えると候補者の混乱を防げる。
アジェンダ説明・雰囲気づくりフレーズ
④ “Before we get started, do you have any questions about the role or the team?”
(始める前に、ポジションやチームについて何かご質問はありますか?)
候補者に先に質問の機会を与えることで、対話的な雰囲気を作れる。
⑤ “Feel free to ask if anything is unclear. There are no trick questions here.”
(わからないことがあれば遠慮なく聞いてください。意地悪な問題は出しません。)
「no trick questions」は緊張をほぐす定番フレーズ。心理的安全性を担保する一言だ。
⑥ “Take your time. We’re more interested in your thought process than the final answer.”
(焦らず進めてください。最終的な答えよりも、思考プロセスを重視しています。)
コーディング面接前に伝えることで、候補者が考えを声に出しやすくなる。
バックグラウンド・経験確認フレーズ(⑦〜⑫)
候補者の技術的な背景と実績を引き出す質問は面接の核心だ。オープンエンドな質問で候補者の強みを自然に語ってもらう。
直近プロジェクトを深掘りするフレーズ
⑦ “Could you walk me through your most recent project — the tech stack, your role, and the key challenges?”
(直近のプロジェクトについて、技術スタック・役割・主な課題を教えていただけますか?)
「walk me through」は候補者に自分のペースで説明させる定番表現だ。
⑧ “What was the most technically challenging part of that project?”
(そのプロジェクトで最も技術的に難しかった部分はどこでしたか?)
候補者の問題解決能力と技術的な深さを測る設問。具体的なエピソードを引き出せる。
⑨ “How large was the team, and what was your specific ownership within it?”
(チームの規模と、あなたが具体的に担当していた領域を教えてください。)
「ownership」を使うことで、主体的な関与の範囲を確認できる。
役割・意思決定を引き出すフレーズ
⑩ “Tell me about a significant technical decision you made. What were the trade-offs you considered?”
(重要な技術的意思決定の経験を教えてください。どのようなトレードオフを検討しましたか?)
「trade-offs」はエンジニア面接の定番ワード。判断の質と深さを測れる。
⑪ “Did you work more independently or collaboratively on that project?”
(そのプロジェクトでは独立して作業することが多かったですか、それともチームで協力して進めましたか?)
候補者の働き方のスタイルとチームへのフィット感を把握する設問だ。
⑫ “Is there anything you would do differently now, looking back?”
(振り返ってみて、今だったら違うアプローチを取ると思うことはありますか?)
成長と内省の能力を確認する設問。正直に反省を話せる候補者は信頼性が高い。
候補者として面接を受ける側のフレーズは、エンジニアの英語採用面接術も参考にしてほしい。
技術スキル評価フレーズ(⑬〜⑱)
コーディング問題やシステム設計問題を出題・評価する際のフレーズ。問題提示から深掘りまでをカバーする。
コーディング問題の出し方・進め方フレーズ
⑬ “I’d like to give you a coding problem. Feel free to use any language you’re comfortable with.”
(コーディング問題を出します。使い慣れた言語を自由に使ってください。)
言語の自由度を伝えることで、候補者が本来の実力を発揮できる。
⑭ “Before you start coding, could you explain your high-level approach?”
(コードを書き始める前に、大まかなアプローチを説明してもらえますか?)
思考プロセスを先に確認することで、コードの意図を評価しやすくなる。
⑮ “Take your time and think out loud as you go.”
(時間をかけて、考えを声に出しながら進めてください。)
思考の可視化を促す一言。候補者の問題解決ステップを追いやすくなる。
解法の深掘り・応用確認フレーズ
⑯ “What’s the time and space complexity of your solution?”
(この解法の時間計算量と空間計算量を教えてください。)
アルゴリズムの基礎知識を確認する定番質問。
⑰ “Is there an alternative approach you considered? What are the trade-offs between them?”
(他のアプローチも検討しましたか?それぞれのトレードオフを教えてください。)
一つの解法にとどまらず、複数の視点で考えられるかを測る。
⑱ “How would you modify your solution to handle [edge case / scale to 10x the data]?”
([エッジケース/10倍のデータ規模]に対応するために、解法をどう修正しますか?)
エッジケース対応力と設計の拡張性を確認する設問。
候補者として技術面接を受ける側の思考プロセスフレーズは、エンジニアの英語テクニカルインタビュー術も参考にしてほしい。
行動面接・チームフィット確認フレーズ(⑲〜㉔)
技術力だけでなく、チームで働く姿勢や協調性を確認するフレーズ。STAR法(Situation, Task, Action, Result)を意識した質問で構成する。
コンフリクト・プレッシャー対応を測るフレーズ
⑲ “Tell me about a time you disagreed with a teammate or manager. How did you handle it?”
(チームメンバーや上司と意見が合わなかった経験を教えてください。どう対応しましたか?)
コンフリクト解決能力と建設的なコミュニケーション力を測る設問。
⑳ “Describe a situation where you had to deliver under tight deadline pressure. What did you do?”
(厳しい締め切りプレッシャーの中で成果を出した経験を教えてください。)
ストレス下でのパフォーマンスと優先順位付けの能力を確認する。
㉑ “Tell me about a project that didn’t go as planned. What happened, and what did you learn?”
(計画通りに進まなかったプロジェクトを教えてください。何が起きて、何を学びましたか?)
失敗からの学習能力と自己認識の深さを測る。正直に語れる候補者は信頼性が高い。
チームへの貢献・学習姿勢を確認するフレーズ
㉒ “Can you give me an example of when you mentored or helped grow a junior engineer?”
(ジュニアエンジニアの育成やサポートをした経験はありますか?具体的に教えてください。)
知識共有とチームへの貢献意欲を測る設問。シニアポジションでは特に重要だ。
㉓ “What’s your approach to code reviews — both giving and receiving feedback?”
(コードレビューへのアプローチを教えてください。フィードバックの出し方・受け取り方の両面で。)
コードレビューの姿勢は、チームカルチャーへの適合度を測る有効な質問だ。
㉔ “How do you stay current with new technologies and industry trends?”
(新しい技術や業界トレンドをどのようにキャッチアップしていますか?)
継続的な学習習慣と知的好奇心を確認する。エンジニアとしての成長意欲が見える設問だ。
面接でのフィードバックを伝える英語表現は、エンジニアの英語フィードバック術も参考にしてほしい。
クロージング・評価共有フレーズ(㉕〜㉚)
面接の締め方と、採用チーム内での評価共有に使うフレーズを紹介する。
逆質問受け・面接クローズフレーズ
㉕ “Do you have any questions for me — about the team, the tech stack, or the role?”
(チーム・技術スタック・ポジションについて、何か質問はありますか?)
逆質問を促す際にカテゴリを示すと、候補者が質問を整理しやすくなる。
㉖ “That’s a great question. Let me share my honest perspective on that.”
(良い質問ですね。正直な視点でお伝えします。)
候補者の質問を尊重しつつ、誠実に答える姿勢を示す一言。面接官の印象にも直結する。
㉗ “Is there anything you’d like to add that we didn’t cover today?”
(本日カバーできなかったことで、付け加えたいことはありますか?)
候補者に最後のアピール機会を与える丁寧なクローズ。優秀な候補者ほどここで差が出る。
㉘ “We’ll be in touch within [X] business days regarding next steps.”
(次のステップについて、[X]営業日以内にご連絡します。)
具体的な期日を伝えることで、候補者の不安を軽減できる。
採用チーム内での評価共有フレーズ
㉙ “My overall impression was strong. She demonstrated solid system design thinking and communicated clearly under pressure.”
(全体的な印象は良好でした。システム設計の考え方がしっかりしており、プレッシャー下でも明確にコミュニケーションできていました。)
評価会議での共有は「印象→根拠」の構造で伝えると説得力が増す。
㉚ “I’d recommend moving forward. The main concern I have is [X], but it’s manageable given [理由].”
(次のステップへ進めることを推薦します。懸念点として[X]がありますが、[理由]から対処可能と判断します。)
採用推薦の際は懸念点も正直に添えることが、チーム内の信頼のある評価につながる。
面接官の英語を磨く3つのコツ
オープニングで「心理的安全性」を英語で作る
“There are no trick questions.” や “We’re more interested in your thought process than the final answer.” のような一言が、候補者の緊張を解く。面接官の英語力より、候補者を安心させる姿勢が評価の質を高める。まずオープニングの3フレーズを固めるところから始めよう。
「walk me through」「trade-offs」「ownership」を使いこなす
英語技術面接には頻出ワードがある。”Walk me through your approach.”(アプローチを説明してください)、”What trade-offs did you consider?”(どんなトレードオフを検討しましたか)、”What was your ownership?”(担当範囲は?)の3表現を習得するだけで、面接の質問が一段プロらしくなる。
評価共有は「印象→根拠→懸念」の型で伝える
採用会議での評価を「なんとなく良かった」で終わらせず、”Strong overall — solid on [強み]. One concern is [懸念点], but manageable.” の型で構造化する。印象・根拠・懸念点の3点セットが、チームの採用判断を動かす評価コメントになる。
まとめ:面接官の英語は「場のデザイン力」
面接官の英語で最も重要なのは、候補者が実力を発揮できる「心理的安全性」を英語で作ることだ。完璧な英語より、候補者を尊重する姿勢と、正確に評価できるフレーズの蓄積が成果に直結する。
今日からできることをまとめる:
- オープニングは “There are no trick questions.” で心理的安全性を作る
- 経験確認は “Walk me through your most recent project.” でオープンに引き出す
- 技術評価は “What’s the time complexity?” と “What are the trade-offs?” で深掘りする
- 行動面接は “Tell me about a time when…” でSTAR形式のエピソードを引き出す
- 評価共有は「印象→根拠→懸念」の3点セットで構造化する
紹介した30フレーズを軸に、まずオープニングと技術評価の定型文を固めることから始めよう。面接官としての英語力が上がれば、採用の質も自然と高まっていく。


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