英語でフィージビリティスタディをまとめるよう求められたとき、何を調査してどの形式で報告すればよいか迷った経験はないだろうか。
フィージビリティスタディ(Feasibility Study)は新規プロジェクトや施策の実現可能性を多角的に評価し、「やるべきか・どうやるか」を経営層やステークホルダーに判断してもらうための調査報告書だ。概要・評価軸・調査結果・推奨事項の4つの構成要素を押さえれば、英語でも問題なくまとめられる。
この記事では、英語フィージビリティスタディに必要な4つの構成要素と、そのまま使える日英テンプレートを紹介する。コピペして使えばすぐに次の提案資料に活用できる。
フィージビリティスタディに必要な4つの構成要素
フィージビリティスタディは「このプロジェクトを進めるべきか」を根拠をもって判断するための文書だ。技術・コスト・スケジュール・リスクの4軸で評価することで、意思決定者が納得できる提案になる。以下の4つが実務で使いやすい構成要素になる。
概要と目的(Overview & Objectives) 評価軸(Evaluation Criteria) 調査結果(Findings) 推奨事項(Recommendations)
フィージビリティスタディとビジネスケースの違い
フィージビリティスタディは「実現できるか・何が障壁か」を調査する段階の文書だ。ビジネスケースは実現可能と判断した後に「投資対効果・ROI・予算」を経営に承認してもらうための文書だ。フィージビリティスタディの結果がビジネスケース作成のインプットになる。
ビジネスケースの書き方は英語ビジネスケースの書き方 でも確認してほしい。
なぜ英語で書くのか
グローバル企業や外資系企業では、経営判断に使う文書を英語で統一するケースが多い。特にフィージビリティスタディは複数国のステークホルダーが読むことが多く、英語で書くことで翻訳コストと伝達ミスを減らせる。
テンプレートをダウンロード(Word)
以下のWordファイルをダウンロードして、プロジェクトに合わせてカスタマイズして使ってほしい。表の列・行はそのまま追加・削除できる。
📥 日本語テンプレートをダウンロード(Word)
📥 Download English Template (Word)
日本語版テンプレート(コピペOK)
基本情報
項目 内容
プロジェクト名 (例:〇〇システム刷新プロジェクト)
作成者 (例:田中 太郎(ITアーキテクト))
作成日 (例:2026年7月1日)
対象期間 (例:2026年10月〜2027年9月)
判断期限 (例:2026年7月31日)
判断者 (例:CIO:〇〇)
概要と目的
項目 内容
背景・課題 (例:現行システムのサポートが2027年3月に終了する。移行しない場合、セキュリティリスクと保守コストの増大が見込まれる)
調査目的 (例:2026年10月までに新システムへの移行を開始できるかを技術・コスト・リソースの3軸で評価する)
対象範囲 (例:顧客管理モジュール・受発注モジュール・レポーティング機能の3モジュール)
対象外 (例:経理システムとの連携改修は本調査の対象外とする)
評価軸
評価軸 評価内容 判断基準
技術的実現可能性 必要な技術スタックと社内スキルのギャップ スキルギャップが3ヶ月以内に解消できるか
コスト 初期費用・ランニングコスト・TCO 現行システムより5年TCOが20%以上削減できるか
スケジュール 主要マイルストーンと実現可能なタイムライン 2026年10月に移行開始できるか
リソース 必要な人員・外部委託範囲 社内リソースで70%以上をカバーできるか
リスク 主要リスクと軽減策 残余リスクが許容範囲内か
調査結果
技術的実現可能性
項目 現状 評価
技術スタック (例:現行はJava 8 / Oracle DB。新システムはJava 21 / PostgreSQLを予定) (例:社内にJava 21経験者が2名。Javaトレーニングで3ヶ月以内にカバー可能)
インフラ (例:現行はオンプレミス。新システムはAWS移行を想定) (例:AWS移行経験あり。外部クラウドコンサルタント1名の支援で対応可能)
既存システムとの連携 (例:ERPとのAPIが20本存在) (例:APIの80%はREST対応済み。残り20%は改修工数50人日を見込む)
コスト
項目 金額(概算) 備考
初期費用 (例:8,000万円) (例:ライセンス・インフラ・開発費含む)
年間ランニングコスト (例:1,200万円) (例:AWS費用・保守費用)
現行コスト(比較) (例:年間1,800万円) (例:保守費・オンプレミス費用)
5年TCO (例:1億4,000万円) (例:現行の5年TCO2億3,000万円と比較して39%削減)
スケジュール
マイルストーン 予定時期 実現可能性
要件定義完了 (例:2026年8月末) (例:高)
システム設計完了 (例:2026年10月末) (例:高)
開発完了 (例:2027年3月末) (例:中 — リソース確保が条件)
本番移行 (例:2027年6月末) (例:中 — テスト期間の確保が条件)
リスク
リスク 可能性 影響 軽減策
リソース不足 (例:中) (例:高) (例:外部SIerへの一部委託を検討。2026年8月末までに契約完了)
API改修の工数超過 (例:低) (例:中) (例:改修対象20本を事前に技術検証し、工数の精度を高める)
スケジュール遅延 (例:中) (例:高) (例:6週間のバッファをマスタスケジュールに組み込む)
推奨事項
項目 内容
総合評価 (例:実現可能。技術・コスト・スケジュールの3軸で基準を満たしている)
推奨アクション (例:2026年8月に要件定義フェーズを開始することを推奨する)
判断期限 (例:2026年7月31日までに承認いただきたい)
前提条件 (例:外部SIerの調達が2026年8月末までに完了すること)
代替案 (例:SaaS製品の導入。初期費用は抑えられるが、カスタマイズ性が低い)
英語版テンプレート(コピペOK)
Basic Information
Item Details
Project Name (e.g., [System] Modernization Project)
Author (e.g., Taro Tanaka, IT Architect)
Date (e.g., July 1, 2026)
Target Period (e.g., October 2026 – September 2027)
Decision Deadline (e.g., July 31, 2026)
Decision Owner (e.g., CIO: [Name])
Overview & Objectives
Item Details
Background & Problem (e.g., The current system reaches end of support in March 2027. Staying on the current system is expected to increase security risk and maintenance costs significantly.)
Study Objective (e.g., Evaluate whether migration to a new system can begin by October 2026 across three dimensions: technical feasibility, cost, and resource availability.)
In Scope (e.g., Customer management, order management, and reporting modules.)
Out of Scope (e.g., ERP integration changes are excluded from this study.)
Evaluation Criteria
Dimension What to Evaluate Pass Criteria
Technical Feasibility Required technology stack vs. internal skill gaps Skill gaps can be closed within 3 months
Cost Initial investment, ongoing costs, 5-year TCO 5-year TCO is at least 20% lower than current system
Schedule Key milestones and achievable timeline Migration can start by October 2026
Resources Headcount and outsourcing scope 70%+ of work covered by internal team
Risk Key risks and mitigations Residual risks are within acceptable tolerance
Findings
Technical Feasibility
Item Current State Assessment
Technology Stack (e.g., Java 8 / Oracle DB. New system: Java 21 / PostgreSQL.) (e.g., 2 engineers with Java 21 experience. Remaining gap closable within 3 months via training.)
Infrastructure (e.g., On-premises. New system: AWS migration planned.) (e.g., AWS migration experience exists. 1 external cloud consultant needed.)
System Integration (e.g., 20 APIs connected to ERP.) (e.g., 80% are REST-compatible. Remaining 20% require ~50 person-days of rework.)
Cost
Item Estimated Cost Notes
Initial Investment (e.g., ¥80M) (e.g., Includes licenses, infrastructure, and development.)
Annual Running Cost (e.g., ¥12M/year) (e.g., AWS and maintenance fees.)
Current System Cost (e.g., ¥18M/year) (e.g., On-premises maintenance and license fees.)
5-Year TCO (e.g., ¥140M) (e.g., 39% reduction vs. current system 5-year TCO of ¥230M.)
Schedule
Milestone Target Date Feasibility
Requirements finalized (e.g., End of August 2026) (e.g., High)
Design completed (e.g., End of October 2026) (e.g., High)
Development completed (e.g., End of March 2027) (e.g., Medium — subject to resource confirmation)
Production migration (e.g., End of June 2027) (e.g., Medium — sufficient test period required)
Risk Assessment
Risk Likelihood Impact Mitigation
Resource shortage (e.g., Medium) (e.g., High) (e.g., Partial outsourcing to an SI vendor. Contract by end of August 2026.)
API rework overrun (e.g., Low) (e.g., Medium) (e.g., Technical spike on 20 APIs before development starts to improve estimate accuracy.)
Schedule delay (e.g., Medium) (e.g., High) (e.g., Build a 6-week buffer into the master schedule.)
Recommendations
Item Details
Overall Assessment (e.g., Feasible. The project meets the pass criteria across all three dimensions.)
Recommended Action (e.g., Recommend starting the requirements phase in August 2026.)
Decision Deadline (e.g., Approval needed by July 31, 2026.)
Prerequisites (e.g., SI vendor procurement completed by end of August 2026.)
Alternative Option (e.g., SaaS adoption. Lower upfront cost but limited customization.)
各セクションの書き方と例文
テンプレートを埋めるときに悩みやすいポイントを解説する。
調査結果の書き方
調査結果は「現状」と「評価」を必ずセットで書く。数字を入れることで説得力が増す。「コストが高い」ではなく「5年TCOが現行比39%削減」のように、比較の基準と具体的な数値を示す。英語ではPassive voiceを使うと客観的な印象になる。
日本語 英語
実現可能と評価した Assessed as feasible
現行比〇〇%削減 [X]% reduction compared to the current system
前提条件が満たされれば Subject to [condition] being met
調査の結果 Based on our findings
代替案として As an alternative option
推奨事項の書き方
推奨事項はアクション・期限・前提条件の3点をセットで書く。「検討する」では判断者が動けない。「〇〇を〇月〇日までに承認してほしい」と具体的に依頼する。反対意見が出た場合に備えて代替案も1つ用意しておくと、会議での議論がスムーズになる。
IT戦略立案との連携はエンジニアの英語IT戦略立案術 でも確認してほしい。
フィージビリティスタディでよく使う英語表現
実務でよく使う英語表現を場面別にまとめた。
評価・分析フレーズ
日本語 英語
実現可能と判断する We assess this as technically feasible.
主要なリスクは〇〇だ The primary risk is [X].
代替案として〇〇が考えられる An alternative option is [X].
前提条件が満たされれば実現可能だ This is achievable, subject to [condition].
調査の結果、〇〇であることがわかった Our findings indicate that [X].
推奨・判断依頼フレーズ
日本語 英語
〇〇を推奨する We recommend [action].
〇〇を〇日までに判断してほしい We request a decision on [X] by 2026/06/24.
Go/No-Goの判断をお願いしたい We’re seeking a Go/No-Go decision.
次のステップとして〇〇を提案する As a next step, we propose [action].
承認いただければ〇〇を開始する Upon approval, we will proceed with [X].
まとめ:英語フィージビリティスタディは4つのセクションで完成する
英語フィージビリティスタディに必要な構成要素を整理した。
概要と目的は背景・調査目的・対象範囲・対象外の4点を書き、読者が「何を評価した文書か」を冒頭で理解できるようにする 評価軸は技術・コスト・スケジュール・リソース・リスクの5軸を使い、判断基準(パス条件)を数値で定義する 調査結果は現状と評価をセットで記録し、比較の基準と具体的な数字を必ず含める 推奨事項はアクション・期限・前提条件の3点をセットで書き、判断者がすぐに動ける状態にする
テンプレートをコピーして、まず「評価軸」の判断基準から埋め始めてほしい。「何をもって実現可能とみなすか」を先に決めることで、調査の方向性が定まり、報告書全体の説得力が増す。
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